お子さまの中学進学について調べていると、公立中高一貫校という言葉に出会うことがあるかもしれません。
公立中高一貫校ってどんな学校なの?
という保護者の方に向けて、この記事では
- 公立中高一貫校とはどんな学校なのか
- 地元中学・私立との違い
について、簡単に説明しています。
我が家の長男は、2022年から都立中高一貫校に通っています。
公立中高一貫校に入学するには試験があるのですが、長男に対して通塾無しの親塾のみで、勉強や合格へ向けた作戦面でサポートしてきました。
塾に通っていない分、情報収集と試行錯誤に努めてきました。
このような保護者の立場から、公立中高一貫校とはどのような学校なのかご紹介いたします。
同じトピックについて、動画でもお話しています。ラジオ感覚の聞き流し用なので、家事をしながらでも聞いていただけると嬉しいです。
公立中高一貫校ってどんな学校?
公立中高一貫校がどのような学校なのか、結論としては、
公立校なので地元の中学/公立高校と変わらない学費で、私立並みの中高一貫教育が受けられる、
とてもコスパの良い学校
というものです。
一般的には、次のような特徴があります。
- 自治体が設立した公立校(すべての都道府県にあるわけではない)
- 中学〜高校までの6年制(東京は併設校が無くなった)
- 学費が非常に安い(地元中学・公立高校と同等)
- 入学試験がある
- 大学進学率も良い
安く、良い教育を受けられるというメリットがありますが、⑤の入学試験についてが気になる、という方も多いですよね。
それについては、この後すぐに、地元の中学や私立の中高一貫校との違いでご説明いたしますね。
近年の変化としては、②でご紹介した併設校が減っているということ。
併設校とは、高校受験もある学校のこと。中学に合格した生徒は高校にそのまま上がりますが、高校受験で入学する人もいる学校です。東京都では、併設校が無くなりました。
また、全国で公立中高一貫校の数が多いのが茨城県の13校。2020年代になってからも13校が開設しており、着々と増えてきている印象です(参照データは愛知県が出している全国の公立中高一貫教育校一覧(2022年度))。
地元の中学・公立高校との違い
まず、地元の中学との違いを見てみます。
ちなみに学費という面では、地元中学でも一貫校でも義務教育なので、共に無料です。
受検して合格する必要がある
公立中高一貫校に入学するためには、適性検査という試検に合格しなければなりません。
検査、だから公立中高一貫校の受験は、受験ではなく受”検”と書きます
一方の地元の中学は、希望すれば基本的には入学できますよね。
公立中高一貫校に入るためには、小学生のうちに受検勉強をして受検に合格しなければいけないのが最大の違いです。
なおこの適性検査、倍率が非常に高くて、合格するのは難しい試験(検査)なんですよ。
専門の塾もあるほどで、準備が大変。小学生時代にこの負担があること、とても大きいと思います。
高校受験が無い
一方で公立中高一貫校の場合、中高一貫なので高校受験がありません。
地元中学に通った場合、もちろん高校に入るためには受験する必要がありますよね。
なので地元の中学に通う場合との違いとしては、中学受験にするか高校受験にするか、つまり受験勉強を小学生のときにするのか中学時代にするかという違いになります。
なお、高校で進学校に入学した場合は、中学3年生で受験を経て入学、すぐ3年後に大学受験があります。中高一貫校で6年間過ごすよりも、学力の低下は低いと言われることがあるそうです。6年間勉強を頑張った子はとても伸びるかもしれませんが、期間が長い分、脱落してしまうこの落ち幅も広がってしまう、ということもあるようなのです。
学校が遠くなる(可能性が高い)
地元の中学に通う場合と比べて、学校が遠くなるということがあります。
地元の学校であれば、自宅から一番近い学校に通うのことになると思いますが、例えば東京都の場合、広い東京の中でわずか11校しか無く、多くのお子さまは中学から電車などで通うことになります。
もちろん小学校時代の友達とも、離れてしまうことになりますね。
地方によっては県に一校しか無いような場合もあり、そうなるとご自宅からの距離によっては受検は難しくなるかもしれません。
私立の中高一貫校との違い
同じように受験して入学して6年間を過ごす、私立校との違いは何でしょうか。
学費が安い
私立は営利法人が経営している学校なので、学費がかかります。
- 学費がかかる
- でも良い環境で質の高い教育が受けられる(学校による特徴あり)
これが私立学校ですね。
一方の公立中高一貫校は公費によって運営されているので、私立に比べて学費は非常に安くなります。
- 学費が公立と同じ(無料)
- 質の高い教育が受けられる
これが公立中高一貫校の、大きなメリットになります。
余談ですが、一般的には私立学校のほうが校舎がキレイだったり、制服がおしゃれだったりします。
息子が通っている公立中高一貫校はかなり古い、まさに公立という感じの学校。。息子は気にしていませんが、キレイな学校を受けることが受験勉強のモチベーションになるお子様もいるかもしれません。
ちなみに都立中高一貫校は、2022年度から学校のWebサイトが、ようやく新しいものになりました。でもほとんどの学校のデザインが一緒です・・。
試験が適性検査であること
私立中学の入試は、一般的には国語・算数・理科・社会の4科目の試験です。
これはいわゆる学力・知識量が重視される問題ですね。
一方の公立中高一貫校の試験は、適性検査といいます。
4科目の区別が無くて、知識もあまり必要ではありません。
その代わり思考力・読解力・作文力などが問われる問題です。一つの課題を解決するために、算数や理科の知識などを横断的に使って考える、という検査です。
暗記するものが少なかったり、算数などでも難しすぎる問題は出ないので、私立で同様の偏差値の学校と比べると、必要な勉強時間は少なくなると思います。
我が家でも、息子は最後まで毎日9時間以上の睡眠を取っていましたし、習い事のサッカーも最後まで続けました。ゲームも受検前日までやっていましたよ(笑)。
私立型試験と適性検査型試験は問題の形式が全く異なるため、それぞれの受験勉強も大きく異なります。
ただ、適性検査型試験に特化して勉強すると、公立中高一貫校しか合格できないという不安があるかと思いますが、近年、私立中学でも適性検査型試験で受けられる学校が増えています。そういった学校でしたら、併願校の候補になるかもしれません。
報告書(内申書のようなもの)の提出がある
私立の場合は、試験本番のテストの得点のみが勝負を決めます。
得点が多かった順に合格!というわかりやすい試験ですね。
一方の公立中高一貫校では、適性検査の試験の得点だけでなく、さらに「報告書」というものの点数を合算した点数で、合否が決まります。
報告書とは、小学校の先生に書いていただく内申書のようなものです。簡単にいうとあゆみ(通知表)を得点化したもので、5年+6年生時のあゆみの成績を点数化する中学校が多いようです。
つまり、小学校での成績や生活態度も試験に影響する、ということですね。
例えば総合点が1000点満点で、そのうち200点を報告書の点数が占める学校の場合、
適性検査という筆記試験が8割
報告書が2割を占めてます。
この二つの合計得点が適性検査の得点となるのです。
学校によって報告書の配点は違っていて、報告書点数が3割も占めるところもあるんですよ。
そのような学校では、小学校での成績や授業態度が重視されているんですね。
親としても、忘れものを注意するような小言が増えてしまいます(笑)。
なお、報告書について、詳しくはこちらの記事にまとめていますので、興味がありましたら併せてご覧ください。
受検が一回きり
多くの私立中学では、何度か同じ学校を受験することができます。
例えば初日の試験には落ちてしまっても、その日の午後や別日にも受験の機会があるのです。また、同じ学校を複数回受けると得点が加算されるなどの特別待遇があったりもしますので、本当に熱望している学校には、なんとかして入学するような工夫の余地がある場合も多いです。
いっぽうの公立中高一貫校の適性検査は、たったの一回しか行われません。
しかも、地域では同日に適性検査が行われるので、公立中高一貫校は併願もできないのです。
つまり人生でたった一回、たった一校しかチャンスのないテストであるという点でも、難しい試験といえるでしょう。
この記事のまとめ
この記事では、
- 公立中高一貫校とはどんな学校なのか
- 地元中学・私立との違い
について説明しました。
- 公立中高一貫校は、学費は安いのに6年間質の高い教育を受けられる、コスパ優秀学校
- 入学には受検が必要であり、それは私立型受験の準備とは異なる
お勉強が好きなお子様がいらっしゃる場合、あるいは中学高校で質の高い教育を受けさせてあげたい場合など、経済的な負担をあまり考えずに選択肢を増やしてくれます。
私も初めて公立中高一貫校という存在を知ったとき、とても良い学校だと思いました。
公式情報としては、各自治体のHPにあります。
例えば東京都ですとこちら。そして学校のWebサイトもありますね。興味がございましたら、お住いの地域についてぜひ調べてみてください。
質問などあればお気楽に!