ウチの子、作文で「何を書けばいいかわからない」らしいのよね・・
作文を書かせようとすると、何を書けばいいかわからなくて固まってしまうお子さまは多いと思います。
でも親塾の場合、何を書くかを教えてあげたくても、「作文はどうやって教えたら良いのかわからない・・」と感じているパパさんママさんも多いのではないでしょうか。
我が家でも息子は本当に作文が苦手で、作文の練習をしても手が動かずに、正直「これは作文無理だな」諦めかけたこともあるほどでした。
それでも私なりになんとか試行錯誤を繰り返しているなかで、ある気づきがありました。
それは、「作文を書く技術的な話の前に、どのようなことを作文に書けばよいのかを考えるための力が必要なんだ」ということです。「何を書くか」を作れなければ、作文を書くアウトプットの技術ばかり学んでも書けるわけがない、ということです。
その前提に立って「何を書くか」の練習をさせたところ、やがて息子は作文で困ることが無くなって、結果的に本番で作文75点(100点満点換算)を取って合格できるところまで成長してくれたのです。
そこでこの記事では、息子が取り組んだ「何を書けばいいの?」を克服して、すらすらと書けるようになるための具体的な方法をご紹介します。
作文「何を書けばいい?」を克服するための前提条件とは?
公立中高一貫校の作文で「何を書けばいい?」を克服するためには、次の5つの力がまずは必要です。
- 文章から、他人の主張を理解できる
- その主張に対して、自分の意見を持てる
- 自分の意見を、説得力を伴って論理的な文章で伝えられる
- どのような意見が(入試の回答として)正しいのか、理解している(ポジショントークができる)
- 社会問題についての話題を理解できる
その点を詳しくご紹介した記事をまとめました。今からお伝えする「克服する方法」の前提となる話ですので、できれば先にご一読いただけると、この記事の話も分かりやすくなるかと思います。
これらの力があって初めて「こういう作文を書く、ということを決められる」、というのが息子を見ていて気付いたことだったのです。
この力を身に着けるための3つの方法に分けました。
- 読解力を育てる練習方法
- 自分の意見を作るための練習方法
- 社会問題について広く知る方法
ひとつずつ、ご紹介します!
その1:読解力を育てる方法
「何を書くのか」を考えるためには、まず求められていることを認識することが必要です。
作文問題の場合は、文章から「筆者の主張」を読み取る力のこと。この筆者の主張が、これから書く作文のテーマになるためです。
文章から主張を読み取る力は、いわゆる「読解力」と言い変えられます。
まずは問題文を理解する読解力が無ければ、その後の「意見を考える」とか「作文に書く」にも至らないため、最初に伸ばしたいのが読解力なのではないかと考えています。また、「文章が分かる=読解できる」が身につくことは、国語系が苦手なお子さまの自信になるはず!
まず、しっかりと書かれていることを読み取れる、読解の力を育ててあげるのがオススメです。
ちなみに、うちの息子は読解問題も大の苦手でした。。
自宅での読解問題集を解いても模試でも、本当に点数が取れないのです。選択問題も抜き出し問題も正解率は低いまま。
どうすれば良いかと考えたなか、ようやく気付いたのが「答えられる前に読解ができてない」ということ。書かれていることを理解できていないのです。
その理由は次の3つでした。
- 語彙が少ないこと(日本語の単語が少ない)
- 文章の骨組みがわからないこと
- 本文が、構造的に組み立てられて作られていることを知らないこと
これらを克服する中で読解力がつきました。どのように克服したのか、具体的な対策などは別の記事にまとめましたので、読解が苦手で伸ばしたいならば参考になってくれるかもしれません。
【親塾】文章読解が苦手だった息子、克服できた取り組みのご紹介
読解ができると、筆者の意見を読み取れるようになります。次に、その意見に対して自分の意見を作る練習についてです。
その2:作文で自分の意見を作る練習方法
筆者の主張を理解できるようになった息子、次に苦戦したのが「筆者の意見に対して、自分の意見を持つ」ということでした。読解問題を解くことで文章を理解できるようにはなっても、あくまでそれは受け身です。
それに対して、自らの考えを持つ=作文用に意見を作ることは、幼い子供にとってとても難しいことなのです。
そしてこの「意見を作る」こと、これこそが息子にとって「鬼門」といえるほど難しいことだったのです。それに気づいた時には、この対策をもっと早くから始めればよかった・・と何度も後悔しました。
それでも、なんとか克服できたのでご安心を!
ここで、我が家がおこなった「意見を持たせる練習」を紹介します。とても簡単すぎて拍子抜けしてしまうものかもしれませんが・・。
「○○は(この主張について)どう思う?」と聞いてあげる
意見を持たせる練習、それは日常生活の中で「○○(お子さまの名前)はこれについてどう思う?」と聞いてあげることです。
質問は、相手に思考を促す「魔法の言葉」!
質問することによって、「意見を考えること」を促すことができます。方法は簡単ですが、「意見を考える」を短時間で促せるので、とても効果がありました。
ここで、続けるために大事なポイントが二つあります。
- 意見を否定しないこと
- 最初のうちは手本を見せてあげること
最初から意見を言える子なんていません。できないことを繰り返すのは、子どもでも大人でも難しいこと。それでも何度も練習するためには、子供が出した意見が、どんなにひどくても拙くても、意見を出せなかったとしても、とにかく否定しないことが大事です。
ウチの息子は、6年生の後半でもなかなか自分の意見が言えませんでした。自分でもできていないことがわかっているのに、それでも「何でもいいから言ってみなよ!」などと責められると、嫌になってしまいますよね。
(偉そうなことを言っていますが、私はなかなかガマンができないだめパパでした・・。息子が粘ってくれたので、最後まで頑張れましたが、後悔・・。ありがとう、息子よ)
また最初の頃は、パパさん、ママさんが積極的に見本を見せてあげましょう。具体的な「解答例」を聞くことで、「あぁ、意見を持つってこういうことか」ということを、お子さまがだんだん理解できるようになると思います。私はこれは本当に毎回、話すお手本を見せていました。正直、これが要らなくなったのは受検本番の3週間前ぐらい・・。それぐらい息子は自分の意見をまとめることが苦手だったのです。
具体的な作文対策
日常生活の中での問いかけで自分の意見を持つ・考えることを促す方法をご紹介しました。
次に、実際の作文問題で意見を考える方法はどのようにするのでしょうか?
これは、作文の問題集を使うのが良かったです。問題集の中の作文のテーマについて、質問したり話し合うのです。
オススメはこちらの問題集でした。
この参考書がオススメな理由二つあります。
ひとつは、テーマを明確にして、そのテーマに合った作文問題を出している点です。
例えば、次のようなテーマの文章を読んで、意見を考えることができます。
- 「生きる」上で大切なことは?
- 何かを成しとげるために大切な事って?
- 理想の「リーダー像」ってどんな姿?
- 真の国際人を目指すには?
そしてもう一つのオススメの理由は、これらのテーマを問う作文問題に対して、「小学生が書いた合格レベルの模範解答が複数用意されてる」ことです。プロのライターが書いたような模範解答ではなくて、小学生が書いた内容なので、あまりにも作りこみ過ぎていない、本当に受検生に参考になるレベルの模範解答なのです。
その模範解答を読むことで、「こういうテーマでは、こういう意見があるんだ」「こんな意見が言えれば良いんだ」ということを具体的に知ることができて、意見の幅を広げることができました。
この参考書を使って本文を読ませて、まずは自分の意見を考えさせる。できてもできなくても模範解答を見て、こういう意見もあるということを学ぶ。
このような練習を毎日繰り返すことで、意見を持つ力が少しずつ付いてきますよ。
理由も聞いてあげる
少しずつでも意見が言えるようになってきたら、その「理由」も問うようにしましょう。
「〜だから、こう考えた」と答えさせるんですね。作文で意見を書くためには、根拠が必要なのです。
とはいえ、あくまで小学6年生が限られた時間で書くもの。データを後ろ盾とするような、エビデンスを求められるような根拠は要りません(笑)。シンプルな理由で全然OK!
受験作文で大事なことは、意見の立派さや独自性よりも、「論理的に意見を述べているのか」ということ。独善的な意見ではなく、相手が納得できるような伝え方ができるのか、という点だと私は考えています。
- 体験談:「こういう経験をした。そこで○○であることを学んだ。だから○○であると考える」
- 書籍 :「○○という本を読んだ時に、○○ということを知った。だから○○であると考える」
よく「作文には体験談を入れる」なんて言いますが、質問文に「体験談を含めて書け」などと書かれていなければ、必須ではありません。ただ、「こういう経験からこう考えます」というパターンが論理的な作文として書きやすいので、意見の理由としての体験談を使うのはとても便利なのです。
根拠も示せるようになる練習方法は、お子さまに意見を聞くときに「それはなぜ?」ということも併せて聞いてあげます。もちろん、最初の頃はなかなかうまくできないはずなので、ここでもやはり否定しないことと、親が見本をたくさん見せてあげましょう。
また、根拠に使える体験談などは本人は忘れていることも多いので、我が家では親が教えてあげるのも多かったです。
「前にサッカーの試合で、こういうことがあったじゃん。だから、こういうことが言えるんじゃないかな」
「夏休みに、二重跳び10回って目標を達成したよね。その時に、こんなことを言っていたよ」
こういった経験が、意見を正当化するための理由になってくれました。
「受検生として常識的」な意見を持つ方法
「意見を持つ」と言っても、ではどのような意見でも良いわけではありません。
前述しましたが、独自の意見や立派な意見を求められてはいません。受験生として「常識的なこと」が言えればいいのです。ですが、この「常識的なこと」、子どもではわからないんですよね。ウチの息子もそうでしたが、「普通に良い子と言えばいいんだよ」というのが分からないのです。
「常識的ってどんな意見?」と迷っているお子さまのために、実は指針となる情報があります。
それは「受検する学校の教育方針」です。
学校にはそれぞれ「どのような人材を育てるのか」という方針があります。当然、適性検査で募集するのも、そのような人材に育ってくれる生徒のはず。そこで、その方針を理解して、その方針に沿う意見が言えれば適性が高いと見なされるのです。
例えば、都立小石川さんの場合、教育理念は次のように掲げられています。
これらの方針と合致する意見が言えると良いわけです。例えば、出題された主張(テーマ)に対して、
- 私は、自らの意思で学ぶことが大事だと考える
- 私は、納得するまで調べて自分なりの答えを見つけることが大事だと考える
などの方向で意見が作れるのではないでしょうか。
この辺りの詳細は学校のHPでも分かりますが、学校説明会で詳しく話してくれることが多いです。説明会に参加された場合は、教育方針とか学校の哲学についても聞いておきましょう。
そして志望校の方針をお子さまと共有して、さまざまな設問に対してこのような意見を作れるように、練習しましょう。
これも最初は親が例を出しながら、時間をかけて練習する必要があると思います。
ここまで、意見の作り方の練習方法についてご紹介してきました。
「筆者の意見を理解して、それに対して自分の意見を考える」のが、作文問題のキモです。
なのですが、私はなかなかそれに気づけませんで、息子に「意見を考える」練習をさせ始めた時期はなんと6年生後半。とても遅くて、間に合わないかもと何度も思いましたが・・。それでも毎日繰り返して行くうちに、「根拠+意見」というものが息子の中に少しずつ蓄積されていたようで、残り2カ月、急に感覚を掴んだあとに作文のスキルが急激に伸びたのです。
焦らずに、ここは親もじっくりと付き添って育んであげてほしいです。
その3:社会問題について広く知る
社会問題を広く知っていることは、適性検査の問題に有効なだけではなく、作文の題材の理解にもつながります。
例えば「環境問題」がテーマの問題が出題されたとき、自分の意見として解決案などを挙げやすくなるのです。
社会問題については、前から面白そうなテレビ番組やYoutubeを一緒に見たりしていました。息子はこういう番組が好きだったのですが、定期的に見ることができなかったり番組を探すのも結構たいへん。
結局一番簡単だったのは、毎日ニュースを見ることでした。
6年生の後半から、試しに毎朝6:00にNHKのニュースを付けてご飯を食べるようにしてみたところ、確実に社会問題への知識も関心も増したように感じます。
いきなり国際問題などは難しいと思われるかもしれませんが、毎日似たようなニュースを繰り返し見ることで、子供たちは理解できますよ。
毎日同じ時間のニュースを見ることで、ルーティンも確立しやすくなりますね。朝のニュース、子供の視野を広げてくれるので、時間が合うご家庭ではぜひ試してみてください。
まとめ
この記事では、お子さまの「作文ってどう書けばいいのかわからない」対策の、具体的な方法についてご紹介しました。
地味な方法ばかりなので、がっかりされた方もいらっしゃるかもしれません。。でも、我が家ではこの方法を地味に続けてきて、本番直前に急激に作文が書けるようになりました。
「まずは何を書くのか、頭で描けるようになる」。それができれば、あとは作文として書くだけ。
参考になる部分があれば幸いです。
ただ、毎日のお仕事や家事の合間で、今回のような勉強方法が難しい方も多いですよね。
それであれば、プロである塾や作文のフォローサービスも検討されるのも良いかと思います。
公立中高一貫校の作文対策サービスとして有名な、ブンブンどりむさんについて特長を調べた記事を書いてみました。ご興味があればご参考になさってください。
ここまで、「何を書くか」という内容についてご紹介してきました。それと共に大事なのが、実際に「書く」とか「文章に起こす」ための方法ですよね。そして、作文は客観的な目で添削を受けることが大切です。
作文の書き方と親が添削するためのポイントについて、こちらの記事にまとめました。併せてご一読くださいませ。
今回ご紹介した作文を作る力、つまり「相手の意見への理解」や「自分の意見をどう伝えるか」などの力は、中学受検だけにとどまらず、大人になってからも役に立つ力です。
公立中高一貫校受検は、作文の力を伸ばすのにとても良い目標だと思います。
親塾にせよ、塾やサービスを使うにせよ、ぜひ作文が楽しくなるように、取り組ませてあげて欲しいと思います。
質問などあればお気楽に!