- 銀本ってどんな本のことなの?
- あんな分厚い本、どうやって使えばいいの?
- 答えを教えるのにどうしても時間がかかる。何かいい方法はないかな?
この記事では、公立中高一貫校受検で銀本を使うということは知っているけれども、それをどう使えばよいのかわからないパパさんママさんに向けて、我が家が行った銀本活用方法をご紹介します。
銀本って、びっくりするぐらい分厚いんですよね。普通に本屋さんで買って持ち帰るのもためらうレベルです。そのうえ中に記載されている細かく大量の文字は無機質に見えて、どこから手をつけたものやら・・。私も途方に暮れたものでした。
最初の頃はどうやって使ったらいいのかわからなくて、時間を無駄にしているようで不安でした。。
そこで塾無し・親塾である我が家では、とにかく試行錯誤して、銀本を有効に使う方法を手探りで探し続けてきました。結果的に合格できたのは、銀本をガッツリやっていた時間の効果が大きかったと感じてます。
そこで、この記事で
- 我が家では銀本をどう利用したのか
- そのまま勉強に使うと親の負担も大変なので、親の負担を減らしながらも効果的に銀本を生かす方法
などについて、ご紹介しています。
銀本は、公立中高一貫校受検では必須と言えるほど重要です。この記事を参考にして、銀本で適性検査対策を効率的に進めていただけると嬉しいです。
まずは銀本についての捉え方から始めましょう!
銀本とはどのような本か?
最初に「銀本ってなんなのか」。改めて確認してみましょう。
公立中高一貫校受検の勉強方法について調べると、「銀本」という言葉がよく出てくると思います。
銀本が何かというと、全国の公立中高一貫校の昨年の受験問題を集めたものです。例えばこちらの2024年版には、2023年に実施された全国の公立中高一貫校の過去問が掲載されています。
全国の問題が掲載されているだけあって、非常に分厚いのが特徴です。
公立中高一貫校受検の勉強では、この分厚い銀本をひたすら解くという期間を設けることがあって、「銀本マラソン」などと言ったりします。
我が家では3年分用意して、6年生の4月から12月まで銀本マラソンに取り組みました。
銀本を解く意味
振り返って考えると、公立中高一貫校の受検勉強として銀本を解くことは、とても有効でした。
銀本を解くことで、次のようなメリットがあったためです。
- 適性検査型問題を沢山解くことができる
- 適性検査問題に慣れることができる
- 類似問題が出るかもしれない
- 過去問対策への準備
それぞれ詳細をご説明します。
適性検査型問題を沢山解くことができる
分厚い中に沢山の適性検査の過去問が掲載されていることで、多くの適性検査問題を解くことができます。
私立型の問題集に比べて、市販されている適性検査型の問題集の数はとても少ないのです。受験者数が大きく異なるため、出版社や塾も、私立中学受験用の問題集を多く出しているのでしょう。
銀本のおかげで、沢山の問題を解くことができるのです。
たくさんの問題が掲載されていること、これが銀本のメリットです。
適性検査型問題に慣れる
たくさんの問題を解くことで、適性検査型の問題に慣れることができます。
適性検査型試験は、特別な練習が必要です。教科横断型の問題(国語とか算数とか分かれておらず、さまざまな教科が混ざったような問題)であることや、記述式の解答が中心になるなど、小学生が普通に受けるテストの形式とは異なるためです。
問題文の読み方や解き方、記述式解答の書き方などある程度の型があるのですが、それを大量の問題を解くことで身に着けられます。
銀本を使って沢山の本番試験を解くことで、適性検査を解くことに慣れていく必要があるのです。
似たような問題が出題される
各学校の適性検査問題は自由な発想で作られているように見えますが、銀本で数年分を解いていると、やはり「他校の過去問題を参考に作っているのではないかな」と気づくことがあります。
「この年の〇〇中学の問題は、去年の△△県の問題で出題されたのに似てるね」ということが、多々あるのです。
沢山の銀本の問題を解いてそこで出会った解き方や考え方、話題に触れておくことで、本番でも似たような問題が出る可能性があります。初見問題でも、銀本で出題されたものと同じ社会問題について触れていた場合や、「このパターンって前にもみたことがあるな」と感じられると、確実にプラスになりますよね。
沢山のパターンの問題に対応するためにも、銀本で全国の問題を幅広く解いていることは有効なのです。
過去問対策への準備
これが一番大事かもしれません。
銀本でたくさんの幅広い問題を解くことは、過去問に取り組む直前期に非常に大事な準備になります。
我が家のやり方では、志望校の過去問題は残り2ヶ月ぐらいから始めましたが、過去問を解くまでに基本的な適性検査の学力をつけておかなければいけません。そのためにも銀本を解くことは大事なのですが、さらに大事なことは、過去問を客観的に見る目が育まれているということです。
たくさんの種類の問題を解いてきたことで、適性検査問題全体の地図のようなものが頭にできているはずです。地図が頭にあることで、過去問を見た時に「あ、こういう問題が出るんだ」「ここはもともと苦手な分野だから、対策しないと」などと、過去問に対して客観的な認識ができるようになるのです。
過去問を客観視できると、志望校の狙いがわかります。「算数だけやたら難易度が高いな」とか、「指導方針の通り、論理的な思考問題が多いな」などと、残りの時間に注力するべきことを掴めるのです。
もし初めて過去問を解いた時に銀本マラソンを経験していなかったら、過去問をやっても傾向を正確に掴めなかったり、なぜ回答がうまくできないのか気付けない可能性もあるかも。直前期に過去問を解いて、その傾向が理解できないのは、かなり危険です。
過去問に取り組んだ時に、その内容を理解して、その対策を適切に実施するために、銀本でたくさんの問題に触れていることが良い準備になるのです。
銀本の難しさ
銀本の利点は沢山あって、公立中高一貫校受検をするのであれば銀本マラソンをするのは必須と言っていいぐらいオススメなのですが、いっぽうで扱いがとても難しいものでもあります。
その理由は次の2点です。
- あまりに分厚すぎる
- 解説が無い
ぜひ書店でご覧になっていただきたいのですが、銀本を手に取ってそのボリュームと、それを埋め尽くす細かい字に愕然とされるかもしれません。この重い本を開いたあとにも気力が残っていたら、本の最後の解答まで見ていただきたいのですが、そこには整然と解答「だけ」が並べられています。しかも記述問題が多いので、回答文がひたすらに並ぶ様相に、これまた言葉を失ってしまうと思います。
これをマラソンのようにひたすらやり込むなんて、イメージが湧かないかもしれません。大人ですらそうなのですから、問題を解く本人は、見ただけで気持ちが折れてしまうかも。
いきなり銀本に取り組むのはとてもハードルが高いのです。
ですが、安心してください。銀本を使うにはポイントがあります。ポイント理解すると、銀本の中身を分割して必要な部分だけを局部的に利用できるようになりますよ。
銀本を使うポイント
そのまま使おうとすると難しい銀本、ポイントを意識するとだいぶ使いやすくなると思います。
我が家でうまく行ったと感じているポイントをご紹介します。
ポイント①:銀本の前に、適性検査型問題集を解く
銀本の問題を解く前に、まず薄めのもので良いので適性検査型の問題集を解くことをオススメします。
まずは適性検査型問題について、詳しくなりたいためです。
適性検査型問題は特殊で、その問題の解き方や記述にはコツや型があるのですが、それらを知る前に解説のない銀本を使ってもそれらは学べません。まずは適性検査型専門で詳しい解説があるドリルで、そういった問題の解き方や記述の方法を具体的に学びましょう。親子共に学んで認識を合わせることも大事です。それから銀本に取り組むのがオススメです。
我が家で銀本の前に使ったのはこちらの問題集でした。
とても解説が充実していること、そしてグラフを見て記述を書くという適性検査の基本となる記述の型を身につけることができました。
これ以外にも適性検査型問題集はいくつかありますので、親子で書店に行って
- 解説が充実している
- 解説で記述の方法についても教えてくれる
ものを一冊、選んで解いてみるのをオススメします。
ポイント②:作文問題は使わない
銀本の問題のうち、作文問題は使いません。作文問題は特別な練習が必要なので、適性検査型問題とは別の対策が必要であるからです。
銀本を始める時期は6年生の序盤からになると思いますが、まだまだ作文の対策は発展段階であると思います。
また、作文は学校によって問題の傾向が全く異なります。志望校の作文問題に合わせる準備が有効なので、他の学校用の対策はあまり意味がないのです。
作文問題を無視するだけで、銀本の中の多くのページをスキップすることができますね。
なお、このブログでも作文対策については記事にまとめています。作文には特別な勉強が必要です。こちらも併せてご覧くださいませ。
【親塾】公立中高一貫校の作文「何を書けばいいの?」を無くすために必要な力とは?【作文】
ポイント③:志望校と難易度の高い学校の問題は避ける
銀本は全ての学校の問題を解く必要はありません。
特に銀本に取り組み始めのころには、解く学校を取捨しましょう。
取捨を選択するポイントは、次の2点です。
- 志望校の過去問は解かない(最後まで解かない)
- 難易度が高い学校は解かない(力が付くまで解かない)
まず、①の志望校の過去問については、銀本では解きません。志望校の過去問は、受検の直前期に初見で解くために取っておきましょう。
②の難易度の高い学校については、そもそも解くのが難しいし答え合わせも難しい。自信も失ってしまいます。最初の頃は避けましょう。
どの学校を避けるとよいか、は具体的に教えてくれている本があります。その本について紹介している記事があるので、ご興味があれば併せてご覧ください。
【書籍レビュー】「公立中高一貫校合格バイブル (受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか)をオススメします」の紹介!
※記事内でも、難易度の高い学校については記述していません。ぜひ書籍の方をご参照くださいませ。
息子の勉強で感じた難易度としてざっくりお伝えすると、首都圏と大阪・京都は避けて良いと思います。四国はそれほど難易度の高くない基本的な適性検査なので、まずは四国から始めるのが良いかもしれません。
都立中学に受かった息子も、東京都の学校については見ないようにしており、京都と千葉の難しい学校は最後まで解きませんでした。
以上のように銀本の問題を選ぶことで、この分厚い過去問集でも半分ぐらいはスキップできます。
少しでも心のダメージを減らしながら(笑)、それでもひとつひとつの学校を頑張って解いていってほしいと思います。
親塾でも親の負担を減らしながらの銀本勉強の方法
我が家で行っていた、具体的な毎日の銀本勉強の方法についてご紹介します。親の負担を減らす工夫を重視しました。
子供に問題を解かせて、親は解説を聞く
銀本を親も解いて教えるというのは、本当に大変です。
なので我が家では、子供が問題を解いて、その解き方を親に説明する方法を取っていました。
手順①:子供がその日の銀本問題を解く
その日解く学校を決めておいて、子供がひとりでその問題を解きます。
このとき、わからない問題は答えを見ても良いこととします。目的は、問題と解法を人に説明できるレベルまで理解すること。
一人で問題や回答を理解するのは難しいですが、適性検査対策参考書で学んだことが、ここで役に立つはずです。
手順②:親が問題の解法について解説を聞く
そして親と一緒にマル付けをするときに、子どもが親にその問題の解法も併せて説明します。
その日の問題が解けたかどうかよりも、問題と解法を理解していること、それをアウトプット(説明)できることが確認ポイント。子供が解らない問題を、親も一緒に解答を見て解説します。
この方法だと、基本的に親がひとりで問題を解くことがなく、子供が問題を教えてくれるので親の負担がかなり減るんです。さらに、子供が自分で説明することで、本当に理解できているかが確認できます。
解けない問題は親子で一緒に考えるのも、楽しめたりもするんですよ。
銀本は親子で使うために2冊用意する
親子で勉強をする場合、銀本を2冊買うのをおすすめします。
銀本は過去問なので、できれば銀本そのものに書き込みをしながら解きたくなると思います。ただ一方で、過去問をもう一度解きたいために、書き込みをせずに残しておきたいとお考えの方もいらっしゃると思います。
そのために銀本をコピーして、そのコピーを子供に解かせているというパパさんママさんもいらっしゃるのですが、もしそのコピーを取るのが大変だったらおススメの方法があって、それが2冊買うということです。具体的には、子供用と親用に分けて2冊購入します。子供用は自分で解くときに書き込みOK。親用は基本的には書き込みNGとします。
そして、一緒に勉強するときは、机で向かい合ってそれぞれが銀本を開いて話します。1冊を二人で見るのは大変なのですが、それぞれが銀本を持っているので、とてもやりやすいんですよ。
1周終わった後も、親の持っている銀本は書き込みが無いので、必要であればそれを使うことができます。
ただ、我が家では銀本の問題を解きなおすことはありませんでした。3冊やるだけで、かなり時間がかかってしまったので・・
ちなみに、我が家では銀本3年分をこなしました。この分厚い銀本を3年分×2冊、受検が終わった後には記念撮影しましたよ(笑)。
親の役割分担
それでも銀本対策は、親の負担も大きいです。そのため、もしパパさんママさんの両方が受検サポートに関われるならば、役割分担をするのが良いかと思います。
我が家では銀本と算数は妻が、それ以外の作文などは私が担当しました。親が銀本も作文も、となると最後まで持たなかった気がします。
親も上手く役割分担をして、負担を減らすのが良いかと思います。
まとめ
適性検査対策に、銀本は必須です。銀本を使ってたくさんの問題を解くことで、適性検査に慣れて過去問対策の準備ができるのです。
合格した息子に聞いたところ、「過去問で考えているようでは間に合わない」と言っていました。例えば、雨の量と天気のグラフが出た場合、「僕は天気について書くのが得意だから、直ぐにそちらで書こうと決めている」と言っていました。このような「これがでたら、コレを書く」という準備を幅広くできることが、銀本の最大のポイントだと思います。
それ以外にもメリットがありました。銀本マラソンをした息子は、さまざまな知識や社会問題への意識を身につけてくれたのです。ニュースなどで出る話題に、「銀本でやったけど、これって〇〇なんだよ」などと教えてくれることがかなりあるんですよ。
銀本は公立中高一貫校受検に必須ではありますが、知識や教養を得るきっかけにもなるようです。取り組むのはとても価値がありそうですよね。
銀本は分厚くて大変ですが、親子で上手く習慣化できれば毎日確実に消化できます。この記事のやり方も参考に、銀本を力にしていただけますととても嬉しいです。
質問などあればお気楽に!