親塾、塾なしで公立中高一貫校受検を目指すご家庭では、
合格するためには、どれぐらい勉強させればいいの?
合格に必要な学力ってどれぐらいかしら?
など、目安となる学力が分からなくて迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、親塾で息子の都立中高一貫校合格をサポートした我が家が目指している、「この時期にはここまでできるように」という目標をご紹介します。
どの時期かというと、具体的には次の通りです。
・4年生から受検勉強を始めるための、3年生の終わりまでの時期。
・6年生から本格的に適性検査型受検対策に入るための、5年生の終わりまでの時期。
4年生と6年生になる時に、それぞれ学習のギアがグッと上がるかと思います。
上がったペースにしっかり着いていくためには、3年生終了時、5年生終了時にどれぐらいの学力を目指したいのか。
長男での経験をもとに、妹たちに実践している我が家の例です。参考になれば幸いです。
目安についての概要
まずは全体の概要を共有させてください。
志望校によって差が出ない基礎学力の部分
今回紹介しているのは、志望校ごとの個別対策を含まない、一般的で基本的な目安です。
6年生から志望校対策も本格化するかと思いますが、その前までの基礎となる学力を高めるための試みです。
かなりの難関校の場合や私立併願を意識されている場合は、プラスアルファの学習や塾なども検討されたほうが良いかもしれません。
ただどの中学に行くにしても身に着けておきたい学力なので、多くの子に有効だと思います。これをベースに、志望校のレベルや特徴に合わせた準備をご検討ください。
ちなみに、我が家の志望校は都立の中堅ぐらいの難易度です。
それであれば、今回ご紹介する方法で十分有効だと思います!
6年生になる時の目標から考える
長男の受検の時、我が家では6年生になった時から適性検査対策に完全に移行する予定で考えていました。
そのために、「5年生が終わるまでにここまで準備ができていればいいな」という漠然とした目標を立てていたのです。
次の3点がポイントでした。
- 適性検査対策に専念できるだけの学力をつける
- 作文対策を始められるだけの国語力をつける
- 報告書で満点を狙う
振り返ってみると、方針の大枠としては合っていたかと思います。
今回お伝えする目途は、さらに長男の受検を終えて得たノウハウなども含めてまとめたものです。
あくまで目安、「完璧」でなくて全然いいです!
ただ、これからするお話は完璧にできなくても全然大丈夫です!
あくまで理想論であり目処であり、我が家でも届いていない点は多々ありました。
基本的に子供たちは、高学年になるほどに理解力や思考力が増します。同じ学年の中でも成長します。
その成長線もまっすぐ直線的ではないので、後からのほうが伸びるはず。
あくまで目途として、そこを目指して日々淡々と勉強を継続できていること、無理せず継続する環境づくりが大事なのだと考えています。
保護者は志望校の傾向の確認を
子供の学力の話とはちょっとずれるのですが、子供が4年生になる時ぐらいに一度、志望校はどこなのか、その学校の出題傾向は?について確認しておくと良いかと思います。
傾向といっても「試験問題の分析」のような大変なものではなくて、まずは「適性検査は2までか、3まであるのか」とか「独自問題はどれだろう」という、大枠のチェックです。
「独自問題」とは、その学校独自が作成する問題のこと。
都立であれば、例えば適性2の大問が3つある中で、1と3は東京都の共通問題を使うけど、2だけは独自問題に置き換える、などのケースがあり得ます。
独自問題を作成するということは、その学校が「こういう問題が解ける生徒に来て欲しい」と考えている表れなので、それを保護者が知っていれば、これから勉強をさせる際の指針になるはず。
なお東京都に関しては、各都立中高一貫校の傾向をまとめております。参考になさってください。
3年生が終わるまで(低学年時)の目標
公立中高一貫校受検に向けて4年生になった時、つまり1〜3年生時の低学年時にはどのようなことを意識すればよいでしょうか。
結論としては、「勉強面で特別なことは不要」です。
それよりも、小学校で習ったこと、生活習慣や学習習慣、習い事や本人がやりたいことやさまざまな体験が大切ではないかと感じています。
私が次女に対して実践していることを、具体的に紹介しますね!
先取り学習は不要
公立中高一貫校受検への学力として、低学年時に先取りなどは不要だと思います。
適性検査問題では私立型に比べて、難解な応用問題や時間をかけて覚えるような記憶問題は不要なので、一般的にトータルの勉強時間は少なく済むはずです。
なので、「先取りでどんどんと新しい知識を身に着けさせる」ほどの必要はなくて、貴重なこの時期の時間は他のことで充実させてあげましょう。
小学校で習ったことを、しっかりと覚える
先取りが不要ならば、何を勉強するのか。
それは、「小学校で習ってくること」です!
学校で習ったことを、全て身につけること。勉強面ではこれだけでOKです!
そのために、次の点を意識させてあげましょう。
- 学校の授業をしっかりと聞くように伝える
- 宿題もすべてやる
- 毎日ちょっとずつの復習ドリルをする
- 学校や勉強を楽しく好きになる
しっかりと授業を聞いて来ること。
そして習った漢字などは宿題として復習できるので、その日のうちに覚えさせてあげること。
学校で習っていることを理解できるほうが、授業を受けていて楽しいはずです。
ずっと授業を前向きに受けられるように、習ったことを身につけさせてあげましょう。
例えば九九なども先取りはせずに、習った段のみ自宅で練習させていました。
使っているドリルは次のふたつ。いずれも定期的に復習するためのもの。
- 学校で使っていた漢字ドリル
- 市販の計算ドリル
漢字って結構ぽこぽこと忘れちゃうので、自宅でそれを身につけさせているのです。
早寝・早起きの生活習慣をつける
朝は頭がフレッシュで、勉強に向いている時間です。
高学年になって朝勉強ができるなど朝の時間を有効活用をするためには、低学年のうちから早寝早起きの習慣をつけさせてあげるのがおすすめです。
参考までに、我が家は長男の6年生の直前期でも、21時睡眠6時起床を最後まで続けていました。コロナで在宅勤務になったので、親もできるだけ一緒に寝ています。
いちど夜ふかしの習慣がついてしまうとその後修正は難しくなるかと思いますので、低学年のうちから習慣化できるといいですね。
学習習慣をつける
低学年のうちに「毎日、家で勉強する」という習慣をつけられると、とっても良いです!
毎日5分でいいので、家の同じ場所で、できれば同じ時間帯に勉強をする習慣が着くと、「この時間には座ってテキストを広げる」のがあたり前になります。
「勉強ってこの机でする」「ここに鉛筆や消しゴムがある」という「型」を作って日々の習慣としてつけておくとことで、受検勉強を始めた時もスムーズに入れるのです。
例えば、宿題は帰ってきてすぐにリビングのテーブルでやるとか、朝が強い子であれば朝の10分ぐらい漢字の復習をするとか、時間帯を決めてしまうと無理なく続けやすくなります。
毎日はちょっとずつでも、気がつくとトータルの学習時間はどんどんと積み上がりますよ!
勉強って習慣化して淡々と長く継続して、「振り返ると随分遠くまで来てたんだ」というのが良いかと。
私も資格の勉強の時は、時間を決めて「日々の負担は小さく、長く続ける」で取り組んでいます。
家族の時間・さまざまな経験はとても大切
低学年で時間があるうちは、家族での思い出を作ったり、さまざまな経験をさせてあげたりしましょう。
受検とか勉強に関係なく、小学校低学年の時期の子どもたちとの時間はとても貴重ですよね!
高学年になって勉強や習い事が忙しくなると、なかなか家族水入らずの時間を過ごすことは難しくなるかもしれません。
経験というのは、なにも「海外を体験させよう」なんて大げさなことでなくて大丈夫!もちろん体験できるに越したことはありませんが、経済的にも時間的にも難しいご家族も多いはず。
そうでなくて、浅くても広い体験をさせてあげたいのです。例えば実家に預けてみるとか、高齢者の方とお話するとか、山や海に行って自然に触れてみるとか。
私は東京都在住なのですが、実家は山形県という田舎です。できるだけ実家に預けたりして、自然の中で遊ぶことを体験させてあげました。
あとは、妻が「〇〇体験」などのイベントによく参加させてくれていましたね。
幅広い経験は、自宅でもできますよ。ご飯やお菓子を作ってみたり、トイレ掃除、上履きを洗うなど、家事をすることも経験ですよね。
子供が何か感じてくれたら、それが経験です。さまざまな経験をすることって、それ自体が人生を豊かにする貴重なもの。
おまけに受検作文の「あなたはどう考えますか」とか「あなたが体験したことを〜」などに活かすこともできるのです。これって教えられないので、体験させてあげるのが最強な訳です。
習い事・夢中になれる時間は貴重
本人が夢中になるもの、熱中するものに出会えたら、それはとてもラッキーです。
とことん、本人が満足するまでやらせてあげましょう。
本人が前向きならば、習い事もGoodです。
我が家でも息子は卒業までサッカーを続けましたし、今4年生の長女は、1月から新しくバスケットボールチームに入りました。
こういった習い事の経験もそれ自体が貴重ですし、習い事で得るさまざまな成功、挫折などの経験もまた作文のネタにもなりますよ。
公立中高一貫校受検では習い事は続けた方が良いという経験談は、別記事にまとめています。併せてご参照ください。
5年生が終わるまで(4、5年生)の目標
3年生までと異なり、私立受験を目指す子は塾に通い出す4年生。
6年生から公立中高一貫校の適性検査や作文対策に入るために、4~5年生の間に学力の基礎をしっかりと固めておきたいところです。
まだまだ時間があるので、目標を立ててカッチリやらせるというよりは、「習慣づけて、毎日少しずつを積み重ねる。たまには休む」ぐらいが、勉強を嫌いにならずに最後まで続けられるポイントなのではないかと思います。
あゆみはすべて「たいへんよい」を目指す
4年生以降は、あゆみ(通知表)の成績を意識しましょう。
最大の目標は、5年生と6年生のあゆみがの成績が、すべて「たいへんよい」であること。
4年生のうちから、それを目指してみましょう。
あゆみの成績を上げたい理由には二つの理由があります。
- 多くの公立中高一貫校では、5、6年生時のあゆみの成績が「報告書点」として総合点に関わるため
- 学校の授業を「全て」理解する必要があるため
「報告書」とは学校での成績を受検時の点数にするもので、内申書に近いもの。この点数には、あゆみの成績が反映されます。
つまり、あゆみの点数を上げることが報告書の点数を上げてくれる、というわけですね。
あゆみの成績を上げるには学校で習ったことをしっかりと身につけることが大切ですが、塾なしで受験勉強をするという立場からしても、学校の授業はとても貴重です。
授業で習う範囲が受検範囲でもあり、さらにそれを先生に教えてもらえるためです。
漢字も算数も、すべてのテストで100点が取れれば、あゆみも上げられますよ!
4年生のうちからあゆみの成績を上げることを意識して、試行錯誤してみましょう!
報告書については、点数を上げる方法についてこちらの記事にまとめていますので、詳しく知りたい方は併せてご参照ください。
算数は「理解しながら」の先取り
算数だけは、4年生から先取りを始めました。
我が家の志望校の傾向として、算数が重視されていることがわかったからです。
ちなみに、適性3がある場合は内容はだいたい理数問題です。
公立中高一貫校の適性検査では出題範囲は小学校で習うことに限られていますが、算数はやはり特殊算や算数的な思考法を身につけておかないと、時間内にはとても解けないのです。
予習シリーズのできるところまで
予習シリーズは各学年上下2巻あるのですが、公立中高一貫校であれば、受検本番までの目標は6年生の上巻までできれば万全。
そして目標としたいのは、5年生テキストの上下巻を「練習問題」まで全て理解すること。
問題を見た瞬間に、「ああ、あの問題ね」と解法が浮かぶぐらいまで身につけたいところです。
6年生に入る頃までには4年生上下巻から5年生上下巻までできているとベストですが、かなりボリュームがあるので、おそらく塾なしではこのペースは難しいでしょう。
なので進捗を焦らないようにしましょう。
進捗よりも「理解」が大事です。
予習シリーズで学ぶ習慣をつけること、できたところまではしっかり理解できていることを重視しましょう。
なお、予習シリーズの使い方について知りたい方は、別記事にまとめていますので、こちらも参考になさってください。
計算スピードを上げる
また、計算スピードもこれから3年間かけて上げて行きましょう。
計算スピードはとても大切で、受検本番でも必要になるだけでなく、日々の限られた時間の中で多くの問題を解けたり、小学校の宿題を短時間で終わらせるなどにも有効です。
息子は「中学の数論で計算するとき、一分で何問とかやらされる。周りの人僕よりも早い」と言っていました。中学になってからも、計算速度は重要であるそうです。
計算の練習方法は、毎日計算ドリルを時間を測ってやること。これは長男が中一の時に撮影したのですが、こんなイメージを目指しています。長女はまだまだゆ〜っくりですが。。
また長女には、計算時間短縮のための「暗記しちゃった方が良い計算」を単語帳にまとめて、1日一周させています。
例えば3.14の倍数などですね。覚えちゃえば円の計算が早まります。
「暗記しちゃった方が良い計算」はこちらの記事にまとめましたので、ぜひ参考になさってください。これは5年生のうちに全部覚えてしまいましょう。
字を速く丁寧に書く練習
6年生になる前に、字は速く丁寧に書く練習をしておくのがおすすめです。
公立中高一貫校対策が本格化すると、とにかく字を書きます。
速く、丁寧な字を書く練習を前もってしておくと、6年生時の負担が減るうえに勉強時間も短縮できますよ。
宿題の印象も良くなるので、報告書対策にも効果的!
また、急に大量の文字を書くようになると、腱鞘炎なども心配です。早めに少しずつ、体を慣らしてあげましょう。
速さと丁寧さ、どちらが重要か優先順位をつけるとすれば、この時期は丁寧さだと思います。
速さは、6年生になってひたすら書き続けるときも鍛えやすいからです。
ただ、丁寧に書くことが好きでスピード感がない子(うちの娘はそうなのですが)には、速く書くことも意識させてあげてもよいでしょう。
なお「どれぐらい丁寧に書くのか」という目安としては、「他の人が読みやすい文字」。
具体的には、適性検査の採点者=つまり志望校の先生が読みやすいと感じてくれる字です。
読み手のことを意識させてあげるように、まずは保護者に読みやすい文字で書くことを伝えてみましょう(おだてながら)。
雑に書くことに慣れている子、あるいは書くのが面倒な子に、急に丁寧さを意識させても難しいですよね。
6年生になってからがんばらなくても良いように、少しずつ身につけさせてあげましょう。
息子は、次のようなことを意識していました。
- 字の大きさを一定にする(漢字は少し大きめ)
- 書く強さを一定にする
- 字はマスの中央に書く
ちなみに、こちらは息子が6年生の夏に、作文を書く姿を自分でタイムラプスで撮影していた動画です!
タイムラプスなので速さはわかりませんが、「毎日こんな感じで書くのか〜」というのが少しでも参考になればと思い、ご紹介させてください。
大変な勉強も、本人はこうやって楽しみを見つけながら頑張っていたんですね(笑)。
受験用5年生レベルの読解問題の本文が理解できる語彙力・読解力
公立中高一貫校受検は、作文を含めて論理的な文章を読んだり買いたりする記述する問題が多いため、語彙を増やすことや読解力を高めることが大切です。
ここでいう語彙力というのは、「難しい四字熟語」や「慣用句」などではなくて、「普通の日本語の単語」のことです。大人なら当たり前と思っている言葉も、子供たちは知らなかったりするのです。
例えば我が家では、4年生時の長女が「両親」や「九州」などの意味を知らなかったのですが‥。
うちの子たちは口から先に生まれたのか!?というぐらいおしゃべりは達者に見えますが、4年生ぐらいだとまだまだ知らない言葉が多いんですよ。
5年生が終わるころに目指したいのは、私立受験用の5年生向けの読解問題の本文はすべて一人で理解できる状態です。
わからない言葉を自分で調べて、それでもわからないものは親に聞いて、本文の内容を理解したうえで解答できる状態を目指しましょう。
読書が苦手な子におすすめの読解問題を使った勉強方法については、こちらの記事にまとめています。
ニュースを見て、意見とその理由を話せるようにする
自分の意見を言うことに慣れさせること。5年生のうちにこれができていると、作文の練習がスムーズにできます。
自分の意見を考えること。
その根拠も示すこと。
このような練習を積んでおくのがおすすめです。
例えば日常の会話のなかで、子どもに「これはどう思う?」「これって良いことかな?」のように聞いてあげること。そして「なんでそう思うの?」とさらに聞いてあげるのです。
本人は、自分で意見を考えることや、論理的な考えには根拠が必要になることの大切さを学んでくれるはずです。
この大事さは、長男で学びました。6年生になって作文対策を始めた時に「あなたはどう考えるか」という問題に対する自分の意見を作れず、長く苦労してしまったのです。
この練習にはニュースや情報番組が有効ですが、子供が向いているなら小学生新聞もおすすめです。
プロが書く文章に日常的に触れながら、世の中の出来事を子供にとってもわかりやすく学べるためです。
個人的には、朝日さんの小学生新聞が気に入りました。長男が好きなクイズノックや「科学マンガサバイバルシリーズ」などの連載があるからです。
小学生新聞についてはこちらに簡単にまとめているので、参考になさってください。
論理的思考力を育んで、自分の意見にまとめて、言語化して伝えること。
これは適性検査でとても大切な力です。
特別なことはせず、会話で引き出してあげられるといいですね。
まとめ
この記事では、3年生が終わるころ、5年生がおわるころ、それぞれの時期にどれぐらい学習を進めておきたいか、その目標をまとめました。
3年生が終わるまでには、学校で習ったことを身につけることと、さまざまな経験を積ませてあげること。
5年生が終わるまでには、学校で習ったことと共に、あゆみの成績をできるだけあげること、算数の先取りや作文の準備など。
ただし、これらは全てが完璧でなくて大丈夫です!
6年生になってからの伸びにも十分期待できるので、目処の一つとして利用していただけると嬉しく思います。
これらは2025年に受検するかもしれない長女と、2027に受検するかもしれない次女に向けてもこの目標を目指して家庭学習をしているものです。
参考になる部分があればうれしいです。
6年生での取り組みについては、こちらにまとめています。併せて参考にしていただければ。
質問などあればお気楽に!